ワンポイントアドバイス

* 実績については、ご了解頂いた一部案件のみを抜粋してお載せしています。

【交通事故】自転車で交通事故を起こしてしまった場合のワンポイント・アドバイス

【 その1 】
自転車で交通事故を起こして,相手方に怪我をさせたり,物を壊したりしてしまった場合,事故の相手方に対し損害賠償責任(怪我の治療費や物の修理代などを支払わなくてはいけない。)を負ってしまうが,個人賠償責任保険に入っていれば,保険でカバーできます。

【 その2 】
個人賠償責任保険は,自動車保険,火災保険,傷害保険,積立傷害保険などに特約として付いていたりします(特に,自動車保険には自動的に付いていることが多いです。)。クレジットカードに付いていることもあります。

【 その3
個人賠償責任保険でカバーしてもらえる人(被保険者)は,①本人,②本人の配偶者,③本人又はその配偶者の同居の親族,④本人又はその配偶者の別居の未婚の子です。事故の際には家族の加入している保険についても確認しましょう。

【 その4 】
個人賠償責任保険でカバーしてもらえる金額は,当然ながら契約で決めた保険金額が限度です。自動車保険に付いている場合は対人無制限も多いですが,クレジットカードの場合は低額なことが多いです。

【 その5 】
個人賠償責任保険の場合,保険会社の示談代行サービスが付いてないことが多いです。したがって,加害者は,保険会社と相談しながら,自分で被害者と交渉しなけばならない。保険会社に無断で交渉すると,後で保険が支払われないこともあるので注意しましょう。

【 その6 】
個人賠償責任保険の場合でも弁護費用特約が付いている場合は,弁護士を雇って被害者と交渉してもらうのも一つの手です。

【 その7 】
個人賠償責任保険のほかに,保険会社が売っている(売ってないことも多いですが)「自転車総合保険」や,日本サイクリング協会(JCA)の会員になると付いてくる「JCA自転車総合保険」などもあります。

【 その8 】
自転車を買ったときに貼ってもらった「TSマーク」にも保険が付いています。交通事故の相手方を死亡させたり,重い後遺障害(1級~7級)を負わせてしまった場合,TSマークが「青」なら最高1000万円,「赤」なら最高2000万円まで補償されます。

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【交通事故】自動車保険における弁護士費用特約

【 弁護士費用特約とは 】
交通事故で加害者になった場合,任意保険に加入していれば,被害者との示談交渉は,加入している保険会社が代わりにやってくれます。
他方で,被害者になった場合,加害者側の保険会社との交渉は,被害者がご自身で行うことになります。その際に,弁護士に相談したり,代わりに交渉してもらったりする場合に,弁護士に払う費用の全部または一部(※)を保険会社が負担してくれるのが「弁護士費用特約」です。
※ 保険会社の多くが売り出している弁護士費用特約は「上限300万円まで(法律相談費用は10万円まで)」と規定されているようです。
※ 弁護士費用特約を利用するにあたって,どの弁護士に相談・依頼するかは被害者の方の自由であり,保険会社が紹介する弁護士でなければならないというわけではなりません。

【 必要な事務手続の補助・代行もいたします。 】
被害者の方が弁護士費用特約をいざ利用しようとしても,色々な書類を保険会社に提出したりしなければなりません。当事務所では,被害者の方がご負担を少しでも軽くするために,弁護士費用特約を利用する際に必要となる保険会社との事務手続について可能な限り補助・代行をさせて頂きます。

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【交通事故】交通事故による怪我の治療には健康保険を利用した方がトク

交通事故の被害に遭って怪我をした場合,業務中や通勤途中での事故の場合には『労災保険』を,それ以外の場合には『健康保険』を利用して,病院などの治療を受けましょう。
『健康保険など』の利用について,病院などから「交通事故だから健康保険は使えない又は使わなくてよい」といった不適当な説明がされたり,「交通事故の被害者なのになぜ自分の健康保険を利用しなければならないのか」といった感情から,交通事故の被害者の多くの方が『健康保険など』を利用せずに治療を受けています。
しかしながら,交通事故の被害者としては『健康保険など』を利用して治療を受けた方が,最終的にトクになる(賠償金の手取り額が多くなる)ことがしばしばあります。その理由を具体的に説明すると次のようになります。
交通事故による治療の場合,健康保険が使えないような特殊な治療といったものは通常想定できないことから,健康保険を使うかどうかで,病院で行われる治療行為に差が出ることはないのが一般的です。
それにもかかわらず,病院などが健康保険を利用できないよう説明をおこなうのは,健康保険を利用した場合の診療単価は「1点=10円」となるところ,自由診療(健康保険を使わない)場合は「1点=20円(地域によってはそれ以上の場合も多々あります。)」となっているからです。
つまり,同じ内容の治療を行った場合でも,自由診療の場合は健康保険を利用した場合に比べ治療費が2倍以上掛かるということになります。言い換えれば,患者側からすれば,健康保険を利用した方がトク病院側からすれば,自由診療の方がトク(患者にとってはソン)ということになります。
そして,交通事故について被害者の側にも何らかの過失があったような場合,『健康保険など』を利用することのメリットがはっきりと現れます。
【 具 体 例 】
. 治療点数:10万点(健保利用:1点=10円,自由診療:1点=20円)
. 治療費以外の損害(慰謝料など):合計50万円
. 保険会社が治療費全額を立替払いした(既払い金)
. 被害者側の過失:20%

【健康保険を使った場合】
治療費100万円+慰謝料など50万円×過失相殺20%-既払い100万円
=賠償額20万円(手取り)

【健康保険を使わなかった場合】
治療費200万円+慰謝料など50万円×過失相殺20%-既払い200万円
=賠償額0円(手取り)

このように交通事故の被害者の場合でも『健康保険など』を利用して病院などで治療を受けた方が最終的にトクになります。
となれば,交通事故の被害に遭って怪我をしたなら,業務中や通勤途中での事故の場合には『労災保険』を,それ以外の場合には『健康保険』を利用して,病院などの治療を受けた方が良いのではないでしょうか。
なお,病院によっては,前記のとおり自由診療の方がトクであることから,「健康保険は使えません。事故扱い(自由診療)になります。」と言われることがありますが,これは病院側が間違っています。もし病院から「健康保険が使えない」などと言われた場合には,上記の厚生労働省の通達が出ていることや,都道府県の保健課に相談する旨などを病院に伝えてみてください。

※ 厚生労働省から「健康保険及び国民健康保険の自動車損害賠償責任保険などに対する求償事務の取扱いについて」と題する通達(昭和43年通達106号)が出されており,交通事故の場合でも健康保険が利用できるようになっています。

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【交通事故】頸椎捻挫(むち打ち症状)の治療期間について

交通事故の被害に遭われた方のなかには,頸椎捻挫(むち打ち症状)と医師から診断されて,長期間にわたって治療を受けられている場合が多くみられます。
しかしながら,頸椎捻挫(むち打ち症状)については交通事故による損害賠償という観点からみた場合,長期間治療を継続することが必ずしも被害者の方に利益になるとは言い切れない場合があります。具体的にいえば,長期間治療を継続したことによって最終的に被害者の方が受け取れる賠償額(手取り)が減ってしまったという事態になりかねないリスクがあるのです。
交通事故によって怪我を負った場合,その治療費や慰謝料(怪我を負ったことに対するもの)は怪我が治癒または症状固定するまでとされています。
この点,頸椎捻挫(むち打ち症状)については,一般的に治療期間が長期化することは殆どなく,1か月以内に治療を終了する例が80%を占めており,6か月以上を要するものは3%という報告が多くされていますむち打ち損傷ハンドブック第2版 遠藤健司 編著)。
また,最高裁判所の判決(最高裁判所第1小法廷昭和63年4月21日判決 最高裁判所民事判例集42巻4号243頁)でも「損傷が頸部軟部組織(筋肉,靱帯,自律神経など)にとどまつている場合には,入院安静を要するとしても長期間にわたる必要はなく,その後は多少の自覚症状があつても日常生活に復帰させたうえ適切な治療を施せば,ほとんど1か月以内,長くとも2,3か月以内に通常の生活に戻ることができるが一般である」との見解が示されています。
そして,頸椎捻挫(むち打ち症状)の治療を長期間にわたり継続することによって,妥当な治療期間について保険会社との間で争いになった場合,上記の報告や最高裁判所の判決に基づいて,妥当な治療期間を「3か月,場合によっては1か月」とされてしまう危険(例を挙げて説明すると次のような結果になってしまう危険)があるということです。
【 ケース 】
・ 頸椎捻挫の1月あたりの治療費:10万円
・ 頸椎捻挫の治療として妥当とされた期間:3か月
・ 治療費以外の損害(慰謝料など):合計50万円
・ 治療費については保険会社が全額を立替払いした(既払い金)

【 3か月で治療を終了した場合 】
治療費30万円+慰謝料など50万円-既払い30万円=賠償額50万円(手取り)
【 6か月で治療を終了した場合 】
治療費30万円+慰謝料など50万円-既払い60万円=賠償額20万円(手取り)
そうすると,交通事故による損害賠償という観点から頸椎捻挫(むち打ち症状)をみた場合,長期間治療を継続することが必ずしも得策ではなく,ある程度の期間で治療の見切りを付ける決断をした方が良いのではないでしょうか。

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