弁護士・星野学

* 実績については、ご了解頂いた一部案件のみを抜粋してお載せしています。

常陽リビング4月4日号掲載 弁護士・星野学のくらしの法律『病気をうつした時の刑事責任について』


新型コロナウイルスのような危険な病気を他人にうつしてしまった場合、何らかの犯罪にあたるのでしょうか。


理論上、危険な病気であることを知りながらわざと他人にその病気をうつせば傷害罪が成立します。

ただし、新型コロナウイルスのように感染方法が飛沫感染あるいは接触感染の場合には、実際に犯罪として処罰されるケースは少ないと思われます。

なぜなら、飛沫感染あるいは接触感染により感染する病気の場合は、他の人から感染させられた可能性あるいは他の場所で感染した可能性があるため、わざと感染させたことを証明することが難しいからです。

もっとも、証明が難しいから処罰される可能性が小さいだけで、わざと感染させたことがきちんと証明されれば傷害罪が成立します。また、傷害罪としての責任が問われないとしても、自分が危険な感染症だと発言して病気をうつすような行動を取れば、たとえそれが冗談だったとしても、個人に対しては脅迫罪が、また、店舗等に対しては業務妨害罪が成立する場合があります。

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常陽リビング3月20日号掲載 弁護士・星野学のくらしの法律『ひき逃げについて』


人に車を接触させていながら、自分では「人に当てたとは思わなかった」ので現場を離れてしまった場合は、全て「ひき逃げ」になってしまうのでしょうか?


もちろん、事故現場を離れたからといって、必ず「ひき逃げ」になってしまうわけではありません。

しかし、「人とは気付かなかった」場合はどうでしょう。

車が人に当たれば、通常、その衝撃は車のフロントガラスやヘッドライトを損壊させてしまうくらい大きなものです。従って、実際には「気付かない」ことはあまりないはずで「とっさのことで慌ててしまった」「当たったのが人だという確信がない」、あるいは「人に当たったとは信じたくない」といった心理が働いて、事故現場を離れてしまうケースが多いように思います。

しかし、そのような状況はいずれもひき逃げと評価される可能性が高いでしょう。

逮捕や身柄拘束を避けるため、運転中に何かにぶつかったような大きな異音・衝撃を感じた際には安全に注意して速やかに車を停止し状況を確認する必要があります。

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常陽リビング5月11日号掲載 弁護士・星野学のくらしの法律『働き方改革関連法について』

Q
「働き方改革関連法」が施行されるそうですが、具体的にどのような点が変わるのでしょうか。

A
いわゆる「働き方改革法」の具体的内容は多岐にわたっており全てを説明するのは難しいので、多くの方が関心を持つであろう点についてご説明いたします。

企業側の立場から説明しますと、①法が定めた上限を超えて残業をさせてはいけない②必ず有給休暇を与えなければならない③パート、非正規労働者、派遣社員などを正社員と差別してはならないなどです。(ただし、大企業と中小企業とでは開始時期が異なる場合があります。)

しかし、中には現在の労働法すら守っていない会社もあります。例えば、労働条件を文書で通知していない、届出を提出させないで残業や休日出勤をさせている、残業に対して賃金の割り増しをしていない、最低賃金額を下回る給与しか支払っていないなどの場合には法律違反の可能性があります。

企業側も従業員もトラブルを避けるため法律が守られているか確認し、不備があるようであれば専門家に相談してみると良いでしょう。

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常陽リビング11月17日号掲載 弁護士・星野学のくらしの法律『勤務先の「終活」について』


勤務先の社長が高齢です。まだ後継者は決まっていないようで、社長が亡くなった時が不安です。今後のために何かできることはありますか?


経営が黒字なのに後継者が見つからず廃業する中小企業が増えています。

会社が廃業すれば、従業員は失業します。社長が「自分の引退を考えたくない」という気持ちは分かりますが、従業員の立場からすればある程度の年齢になってから転職先を探すのは困難です。

そこで社長に「社長が引退した後についてお聞かせください」とお願いしてみても良いでしょう。

もし後継者がいなくても、廃業という道を選択せずに済む方法があります。例えば、経営陣や従業員が会社を「買う」、あるいは元請けなどの取引先や事業拡大を計画するライバル会社に会社を「従業員ごと買ってもらう」などの方法があります。

これらは「事業承継」と呼ばれています。行政も税制などさまざまな支援制度を用意していますので、一度税理士や弁護士などに相談するよう社長に進言してみてはいかがでしょうか。

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常陽リビング9月15日号掲載 弁護士・星野学のくらしの法律『道路で寝ていた人を車でひいてしまった場合の責任』

Q
道路に寝ていた人を車でひいてしまった人が逮捕されたという話がありましたが、このような場合でも運転者に責任があるのでしょうか。

A
今年6月までに県内で起きた交通事故での死亡者の4人に1人が「路上で横になっていた人」でした。

夜間、横になっていた人を車でひいてしまった運転者は制限速度を守っていたとしても責任が生じます。なぜなら運転者には、制限速度ではなく「ヘッドライトの明かりが届く距離に人がいた場合にはブレーキをかけて停止できる速度で走行しなければならない」という義務があるからです。

なお、下向きのライトが照らす距離は40m程度ですので、時速約60Kmで走行していた場合、路上に人を発見してすぐにブレーキを踏んでも通常は間に合いません。そのため、警察はライトを上向きにするよう勧めています。

このようなケースで運転者が刑務所に入る結果になることは少ないですが、被害者に対する金銭的補償の問題は残ります。夜間は対向車に配慮しつつライトを上向きにするか、速度を落として慎重に運転しましょう。

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