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【交通事故】頸椎捻挫(むち打ち症状)の治療期間について

交通事故の被害に遭われた方のなかには,頸椎捻挫(むち打ち症状)と医師から診断されて,長期間にわたって治療を受けられている場合が多くみられます。
しかしながら,頸椎捻挫(むち打ち症状)については交通事故による損害賠償という観点からみた場合,長期間治療を継続することが必ずしも被害者の方に利益になるとは言い切れない場合があります。具体的にいえば,長期間治療を継続したことによって最終的に被害者の方が受け取れる賠償額(手取り)が減ってしまったという事態になりかねないリスクがあるのです。
交通事故によって怪我を負った場合,その治療費や慰謝料(怪我を負ったことに対するもの)は怪我が治癒または症状固定するまでとされています。
この点,頸椎捻挫(むち打ち症状)については,一般的に治療期間が長期化することは殆どなく,1か月以内に治療を終了する例が80%を占めており,6か月以上を要するものは3%という報告が多くされていますむち打ち損傷ハンドブック第2版 遠藤健司 編著)。
また,最高裁判所の判決(最高裁判所第1小法廷昭和63年4月21日判決 最高裁判所民事判例集42巻4号243頁)でも「損傷が頸部軟部組織(筋肉,靱帯,自律神経など)にとどまつている場合には,入院安静を要するとしても長期間にわたる必要はなく,その後は多少の自覚症状があつても日常生活に復帰させたうえ適切な治療を施せば,ほとんど1か月以内,長くとも2,3か月以内に通常の生活に戻ることができるが一般である」との見解が示されています。
そして,頸椎捻挫(むち打ち症状)の治療を長期間にわたり継続することによって,妥当な治療期間について保険会社との間で争いになった場合,上記の報告や最高裁判所の判決に基づいて,妥当な治療期間を「3か月,場合によっては1か月」とされてしまう危険(例を挙げて説明すると次のような結果になってしまう危険)があるということです。
【 ケース 】
・ 頸椎捻挫の1月あたりの治療費:10万円
・ 頸椎捻挫の治療として妥当とされた期間:3か月
・ 治療費以外の損害(慰謝料など):合計50万円
・ 治療費については保険会社が全額を立替払いした(既払い金)

【 3か月で治療を終了した場合 】
治療費30万円+慰謝料など50万円-既払い30万円=賠償額50万円(手取り)
【 6か月で治療を終了した場合 】
治療費30万円+慰謝料など50万円-既払い60万円=賠償額20万円(手取り)
そうすると,交通事故による損害賠償という観点から頸椎捻挫(むち打ち症状)をみた場合,長期間治療を継続することが必ずしも得策ではなく,ある程度の期間で治療の見切りを付ける決断をした方が良いのではないでしょうか。

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